○鳥取市中小企業・小規模企業振興条例
平成29年3月27日
鳥取市条例第2号
鳥取市は、山陰地方における中核的な都市として、政治、経済、文化の中心的な役割を担いながら、製造業を中心とする産業都市として発展してきました。
そうした中、市内の事業所の大多数を占める中小企業・小規模企業は、地域の経済と雇用を支える役割の重要な担い手として、地域の発展と市民生活の向上に大きな貢献を果たしてきました。
しかしながら、今日、経済のグローバル化や技術革新の進展に伴う産業構造の変化、急速な少子高齢化や人口減少の進行による社会構造の変化など、地域社会・地域経済を取り巻く環境が変化する中で、多くの市内中小企業・小規模企業は様々な困難に直面している状況にあります。
今後も鳥取市が将来にわたり、持続的に発展を遂げていくためには、中小企業・小規模企業の自主的な努力に加え、市、支援団体その他中小企業・小規模企業に関わる全てのものが緊密に連携し、中小企業・小規模企業の多様な活力ある成長と発展が図られるよう支援していくことが必要です。
そこで鳥取市は、中小企業・小規模企業の振興を市政の重要な柱として位置づけ、地域社会が一体となって中小企業・小規模企業の振興に取り組むことで、豊かで暮らしやすいまちの実現に寄与するため、ここに条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、中小企業・小規模企業の振興について基本理念及び市の施策の基本となる事項を定めるとともに、市の責務等を明らかにすることにより、中小企業・小規模企業に関する取組を総合的に推進し、もって地域経済の発展及び雇用の創出を図り、市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項各号のいずれかに該当する中小企業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 小規模企業 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(3) 中小企業・小規模企業 前2号に規定する中小企業及び小規模企業をいう。
(4) 支援団体 商工会議所、商工会、中小企業団体中央会その他中小企業・小規模企業の支援を行う団体で市内に事務所を有するものをいう。
(5) 大企業 中小企業・小規模企業以外の企業で、市内において事業活動を行う企業をいう。
(6) 金融機関 銀行、信用金庫その他金融業を行う者及び信用保証協会で市内に所在するものをいう。
(7) 教育機関 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校その他職業に必要な能力を育成することを目的とする機関で市内に所在するものをいう。
(8) 大学等 大学その他の研究機関で市内に所在するものをいう。
(9) 市民 市内に在住する人、市内で働き、若しくは学ぶ人又は市内において事業若しくは活動を行う団体をいう。
(基本理念)
第3条 中小企業・小規模企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念(以下「基本理念」という。)として行われなければならない。
(1) 地域経済の発展、雇用の確保及び市民生活の向上に資すること。
(2) 中小企業・小規模企業の創意工夫を生かした経営の改善など自主的な努力が助長されること。
(3) 市、中小企業・小規模企業、支援団体、大企業、金融機関、教育機関、大学等及び市民が連携し、協働により推進されること。
(市の責務)
第4条 市は、基本理念に基づき、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的に推進するものとし、その施策の推進に当たり、必要な情報の収集及び提供を行うものとする。
2 市は、工事の発注、物品及び役務の調達を行うに当たっては、予算の適正な執行並びに透明かつ公正な競争及び契約の適正な履行の確保に留意しつつ、中小企業・小規模企業の受注の機会の確保に努めるものとする。
3 市は、特に経営資源の確保が困難である小規模企業に配慮し、施策の推進に取り組むものとする。
4 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(中小企業・小規模企業の努力)
第5条 中小企業は、基本理念に基づき、経済的社会的環境の変化に即応してその事業の成長発展を図るため、自主的に経営の向上及び改善に取り組み、経営基盤の強化に努めるものとする。
2 小規模企業は、基本理念に基づき、経済社会情勢の変化に即応してその事業の持続的な発展を図るため、自主的にその円滑かつ着実な事業の運営を図るよう努めるものとする。
3 中小企業・小規模企業は、地域社会の一員としての社会的責任を自覚し、中小企業・小規模企業相互の連携、協力に努めるものとする。
4 中小企業・小規模企業は、雇用の確保、人材の育成を図るとともに、従業員の福利厚生の充実及び仕事と生活の調和を図ることができる職場環境の整備に努めるものとする。
(支援団体の役割)
第6条 支援団体は、基本理念に基づき、中小企業・小規模企業の経営の向上及び事業の改善発達の取組を積極的に支援するとともに、市が行う中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(大企業の役割)
第7条 大企業は、基本理念に基づき、中小企業・小規模企業の振興が地域経済の発展に果たす重要な役割を理解し、市が行う中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 大企業は、地域社会の一員としての社会的責任を自覚するとともに、中小企業・小規模企業との連携、協力に努めるものとする。
(金融機関の役割)
第8条 金融機関は、基本理念に基づき、中小企業・小規模企業の資金需要に適切に対応することにより、中小企業・小規模企業の経営の向上及び改善に協力するよう努めるとともに、市が行う中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(教育機関及び大学等の役割)
第9条 教育機関は、基本理念に基づき、中小企業・小規模企業の事業活動による本市の発展への貢献について理解を促すとともに、教育活動を通じて勤労観及び職業観の醸成を図ることで、地域の次世代を担う人材の育成に協力するよう努めるものとする。
2 大学等は、中小企業・小規模企業が行う新技術及び新商品の開発等に対する取組並びに人材の育成に協力するよう努めるものとする。
(市民の理解と協力)
第10条 市民は、基本理念に基づき、中小企業・小規模企業が地域経済の発展及び市民生活の向上に重要な役割を果たしていることを理解し、中小企業・小規模企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。
2 市民は、市内において生産され、製造され、又は加工される産品及び提供されるサービスを利用するよう努めるものとする。
(施策の基本方針)
第11条 市は、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を講ずるものとする。
(1) 経営の安定及び改善を促進すること。
(2) 産業の高度化及び多様化を推進すること。
(3) 生産性の向上及びサービスの効率化により事業の付加価値を高めること。
(4) 国内外への販路及び取引の拡大を支援すること。
(5) 地域内の経済循環の活性化を推進すること。
(6) 人材の育成、確保、定着及び雇用の創出を推進すること。
(7) 労働環境の改善を促進すること。
(8) 起業・創業を促進すること。
(9) 円滑な事業承継を推進すること。
(10) 6次産業化の推進、農商工連携及び産学金官(中小企業、小規模企業、大企業、大学等、金融機関、国、県及び市をいう。)の連携を推進すること。
(11) 中小企業・小規模企業の事業活動の振興に資する企業誘致を推進すること。
(12) 円滑な資金調達を推進すること。
(意見の聴取等)
第12条 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の推進に当たっては、中小企業・小規模企業、支援団体、金融機関、教育機関、大学等及び市民で構成する鳥取市中小企業・小規模企業振興会議を開催し、意見を十分に聴く機会を設けるとともに、効果的な施策の実施に向けた検証を行うものとする。
(実施状況の公表)
第13条 市は、毎年度、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の実施状況を公表するものとする。
(委任)
第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。
(鳥取市中小企業振興条例の廃止)
2 鳥取市中小企業振興条例(昭和51年鳥取市条例第41号)は、廃止する。