平成17年度鳥取市政懇話会 第2回「教育福祉部会」議事録

日時:平成17年7月21日(木) 午後1:30〜3:30

場所:鳥取市役所駅南庁舎地下第1会議室

出席者

議事内容

○委員 本日は教育(学校教育、幼児教育)について協議する。事前に意見照会した内容をまとめた配布資料も基に意見をいただきたい。学力向上など教育は、一朝一夕で出来るものではなく、一歩一歩積み上げていくことが大切だと思う。皆さんの忌憚のないご意見をお願いする。

○中川教育長 資料Iの数字の関係だが、14歳以上の犯罪率は、鳥取県で平成16年度は全国8位(平成14年度:全国1位、平成15年度:全国2位)、人工中絶率は、平成14年度で全国1位(1,000人当たり全国平均12.8人、鳥取県は21.3人)である。

○委員 7月13日の新聞に県教委のキャンペーンの取り組みが載っていた。「食べる、読む、遊ぶ、寝る、長時間テレビを見るのは止める、服装等」を掲げ一人ひとりの草の根運動が大切と出ていたが、市の取り組みとの関係はどうなのか。

○中川教育長 市の教育委員会は、県の教育委員会の指導を受けるので、一体となって取り組むこととなる。内容としては極めて基本的なことである。

○委員 今までこの会でも良い提言がたくさん出ている。それらも活かして具体的な取り組みを分りやすい形で行ってほしい。

○委員 この提言等をどう活かすか。絵に描いた餅ではだめ。一つひとつ検証し実行しないといけない。

○委員 市議会、自治会、学校などと連携し、市民の意識化を図り市民運動とし、息の長い活動が必要である。

○委員 家庭・親の問題もあるが、子どもが命を授かった時からが原点である。ご存知の通り「胎教」が子どもの生育にとって最も大切である。やすらぎを与えることで脳のα波に良い効果を与え、こどもの生育に寄与する。ここからはじめる必要があり、新しい親達に対して県・市が連携し指導していただきたい。

○委員 小学校3校、中学校1校の4校を訪問し現場の先生から様々な実情等を聞いてきた。地域によって、大きく差があるように思われた。PTAと学校とが連携・協力により、放課後・土日でもクラブ等が活発に行われている地域がある一方、懇談会に出席する人が少なかったり、貧しくて道具が揃わないため、スポーツのクラブに入れない子がいたりする地域もあった。市内でも地域によって開きがあり、多くの課題を持っているという実感をもった。もっと学校側が行政に相談されればよいと思うが、あまりされていないように思った。

○中川教育長 あらゆる相談をたくさん受けている。合併により市域が広くなったこともあり、教育委員会も大変である。なかでも特に親との関係の相談が多い。

○委員 中ノ郷小学校では、父兄からの発案で、防犯のためのステッカーを作成し、車に貼る運動をしている。子どもに無関心な親もいるなど個人差の問題や発達障害者が各学校に6%いる状況もあり、これらの対応が大きな課題である。

○委員 発達障害者に関しての手立ては、行政が主に随分取り組まれている。ただ、親の方が少し後れているだけということで申し出等をされない状況もあるようだ。

○委員 親が積極的に訴えにくい現状があるが、だれに相談してよいか分らない状況もある。地域等でも相談しやすいシステムが必要では。

○委員 地域でも児童委員、民生委員等があるが、問題がある子ども達との接点が少なく、また、どう手を出して良いのか分らない実態もある。もっと連携を図らないといけない。

○中川教育長 子どもの障害を支援する特別支援教室には、文科省・県・市をあげて取り組んでいる。以前我々が聞いたことのない、LD・ADHD・高機能自閉症・アスペルガ症候群など様々な障害が生じている。昔からあった障害であろうが、以前は病気という位置付けではなかった。県教委では、この専門の教員を養成しているが、医師ではないので判定することはできなく、ある学校ではその対象者が極端に多いなど病気を作ってしまう傾向もあるようだ。また、学校現場で先生が精神的な障害を受けているなど、様々な問題が生じている。教育委員会では、教育委員会が責任を持つので、どうしようもない場合は子どもを帰らすよう指示しているが、支援するグループ等もあり、先生はそのはざまで本当に苦労している。

○委員 1960年代、アメリカでは学校現場が麻薬・不順異性交遊等で混乱した時代があり、政府は普通の子どもが教育できるよう問題児を隔離する施策をとった。今では、その成果もあり日本の学校よりアメリカの学校の方が整然としている。人権問題の観点もあろうが、個々の先生や教育委員会等で簡単に解決できる問題ではない。

○委員 鳥取市、鳥取県、だけの問題ではなく全国的な問題であろう。文科省から言われ、親から言われ、先生ががんじがらめになっているといった感がある。夢を持ち教員になられたものと思うが、失望しているのではないか。職業として先生は特殊なものではなく、もっと楽にさせ自由度をあげるシステム(環境)が必要では。地域ごとの先生像があってよい。過渡期ではあろうがかわいそうである。

学校の情報公開も必要である。本秋に開催される生涯学習フェスティバルの「メディアとこども」に加わっている。子ども達は、コンピューターが出たことにより、大人が思う以上に事象はなくても社会的情報を得ている。子ども達にはわからない社会を教えていく必要がある。そのためには、小・中学校の生徒にボランティアを体験させ、それを成績に反映させるシステムを構築しては。

また、異文化体験していただくため修学旅行を外国に連れていくほうが良い。

性の問題では、コンドームなど、水際でたたかないと駄目、大人が考えているより実態は進んでいる。昔のように原理原則では対処できない。消極的でなく戦略的に行政が網を張らないといけない。

○委員 現状把握を踏まえ、市民の力を喚起し、訴える活動をするなど市民運動にしないといけない。一人ひとりが「自己実現」の考えのもと、皆が自分のものとして考え行動することが重要である。

○委員 昨日に修学合宿に参加したが、昨年より子どもに気力がなく、自分達の行動がわかっていない。事前に会を設け、子ども達にも主旨等を分るようにしてあるが、認識できてない。朝も「あいさつ」ができなく、無気力で指示待ちの子どもが多い。反省会でも出たが、子ども・親に気づかせることが大切。

中学性についてだが、生徒が生徒を動かす生徒会活動の活発化が重要だと思う。また、中学生を地域の公民館行事や運動会等のイベントへ参加させ、地域が一体となって教え育てていくことが重要。

○委員 子ども・教育の話をする場合、今子どもを育てている若い人の意見を多く聞くことが大切である。

教育学部を出られた先生とその他の学部を出られた先生とは、教育カリキュラムの違いから教育の専門的な知識が違うこともあり、教員採用時点にも問題があるのでは。

発達障害について、LDは薬によって障害が急変することもあるし、アスペルガー高機能障害も接し方によって回復することもあるが、基本的には脳の病気であり、治らない。皆が正しい理解をする必要がある。それが学校教育につながり、個々が関わっていくことができる。

○委員 これだけ良い提言が皆さんから出ているが、これをどう活かすのか教育長に伺う。子ども人権、モラル、マナー、ルールを大切にする風土づくり、「心の教育」など学校・地域・民間ボランティアなど多くの方が連携し取り組むことが重要。

○中川教育長 この会の趣旨は、結論めいたものを取りまとめるものではなく、皆さんに自由に意見を言っていただくものであり、出た意見を行政にどう反映させるかが重要であると考えている。今日の意見の中でも例えば、中学校のメッセージを毎年したらどうかとか、教員に自由度がないではないか、またピアサポートの考え方について、こういうことは是非取り入れようと思っている。今までの意見でも既に具体化しているものもある。11月13日には、皆さんの意見を踏まえ、モラル・マナー・ルールの市民集会をすることとしている。また、皆さんの意見を様々なところで言っていたところ、あるところから250万円出していただいて8月28日(日)には、NHKで放送された「心のノート」の大野靖之さんに来ていただき、モラル・マナー・ルールを啓発するイベントを計画している。皆さんの意見をどんどん言っていただき吸収していきたいと考えている。

○委員 学校と地域との連携はどういう姿が望ましく、また誰が結びつけるかなど、どこも模索されている。例として河原第一小学校では、夏休み前に地域の子どもを集め(部落児童会)、夏休み何を計画しているのかなど話をしており、地域の子どもは地域で育てる考えの下、その場に児童民生委員も出席している。学校に地域へ声をかけるよう依頼し、今、下校時にパトロールを行うとともに、土曜日のわくわく学習などを行っている。

地域と学校が連携を持ち、小さなことから一つひとつ行動していくことが重要であり、学校もどんどん親や・地域に情報を提供することが大切。

○委員 情報提供については、学校は最も閉鎖的である。この前、日野の学校で事件現場なので取材を申し入れたところ拒否された。校長の判断であろうが、旧態依然の考えを止めないといけない。構造的に直す必要がある。

○委員 学校も情報保護にも配慮しながら、情報公開をすることが重要である。

○委員 1ヶ月に1日「家庭の日」を設けることについて、何人かに話をしたら反響もあった。私もよいことだと思う。

校長の権限は昔より増えており、学校内の様々な問題も多く、精神的なものもあろうが負担が増えて大変である。また、学年主任も負担となっている。

学力調査の導入について、学校間の序列化等の問題があるが、子どもが目標を持てる等必要なことだと思う。ただ準備期間は必要であろう。

いろんな意見・提言が出ているが、一端中間としてとりまとめ教育委員会に提出した方が良い。教育長の方から出ている意見に対しては、その都度具体化しているとのことだが。また、取りまとめるに当たっては、事務局・教育委員会、会長で主旨を変えないよう文書を整える必要もある。

○委員 学力向上の話だが、聞き取り調査をしてみると軽犯罪や問題を起こしている子どもは、おとなしく、まじめで、学校の成績も良い子の場合も多い。その後ろに何があるか、どうしてそうなったか、過去の家庭問題等に目を向けないといけない。

出前講座に行き、25人に日本画を教えたが子ども達がいきいきしていた。学力の低下だけの観点でなく、子ども達にその基本となることを身に付けさせることが必要。

○委員 文書の面は、主旨を変えないよう直しまとめさせていただく。例えば、正しい歴史教科書とは誰が正しいと決めるか等の意見もある。

○中川教育長 今日出た意見に関して、まず学校の閉鎖性については、昔から言われているが、最近は随分変わってきているし、教育委員会も指導している。教育は学校だけではなく、地域の協力も必要であり、そのためには積極的に情報提供し開かれた学校にするよう指導している。学校評議員の制度もあり学校運営に地域の方の意見も参考にしている。

教員の質について教員の専門性、自由度などの意見が出ていたが、教育委員会が今先生方に言っているのは、学習指導要領・学力・学校5日制がどうかということは、行き着くところは教師論になる。先生方はプロの意識を持つよう。

地域との連携では、中ノ郷小学校の例も出ていたが、今、どこの小学校でも組織が出来ている。特に、今、学校の安全が大きな課題であり、NHKで取材・放送され、その後新聞にも載り、世論となってきた感もあるが、今、登下校時に様々な事件が起こっており、教育委員会ではこの問題に力を入れていくこととしている。

様々な青少年犯罪が発生しているが、子どもの問題は、大人の問題でもある。

鳥取の特有な数値として、14歳以上の犯罪の検挙率は全国1位であるが、14歳以下の検挙率は全国の平均以下である。これは、義務教育時点で十分な教育が出来てないことが原因とも考えられる。

基礎学力調査について、鳥取県では基礎学力調査を行っており、各学校の数値が出ており、各校長先生はその内容を知っている。学校において差が大きい。特に問題にしているのは、学校が好きか嫌いか、案心して相談できる先生がいるかなど分析して著しく低い学校に対応している。また、PISA調査では、日本はテレビを見る時間が世界で一番長く、手伝いする時間は一番短い、これらも問題である。

外国から帰られた方と話をしたが、日本は、土・日の午前のテレビにびっくりするほど子どもに悪影響を与える番組があるということだった。

今は、純粋培養はできない。全ての情報を知り、判断できる力を身に付けるよう指導している。しかし、遠ざけられるものは遠ざけたい。

○委員 次回のテーマは福祉・人権とする。これで会議を終了します。

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