1975年10月6日の明け方のことです。日本中を吹き荒れた台風も通り過ぎ抜けるような快晴でした。この日に、2個の彗星を一人で発見した人がいます。
台風一過とよく言いますが、台風の通過した後には大陸の高気圧が日本の上空に張り出し、各地で快晴となる事が多いのです。このような日は、新天体発見のチャンスです。それまでどんよりとしていた夜空も、乾いた空気に入れ替わり夜空の星々も、自分たちの存在をアピールし始めます。当夜はまさしくこんな夜でした。一個の彗星は3人、もう一個の彗星は5人によって発見されたのです。そして、その中にこの2個の彗星を1時間14分の時間差で一人によって発見されたのです。新天体発見の最も短い時間差でした。
夜空には、何が潜んでいるか判りません。しかも何処にいるのかも不明。この事実に、天文電報中央局も驚いて聞き返して来たほど。この発見は日本人の勤勉さを世界に知らせたことになりました。
台風の 去りゆく後に 二個の星(彗星)。 香西蒼天
闇の夜に 潜む彗星 あばく台風。 香西蒼天
秋です。天高く馬肥える秋とも言われる夜空の大きな窓に例えられるのがペガサス座です。ほとんど同じ明るさの4個の星、と言っても1個はアンドロメダ座の星ですが、によって区切られる天の一角。さながら夜空に開いた大きな窓でしょうか。環境省が主導して行われている全国星空継続観察・スターウオッチング・ネットワークの星数えの場所の候補にしてはどうか、と言う考えが述べられたことがありました。1辺が凡そ15度、この中にある星を数えてはどうだろうか、と言うことです。すばる星団やこと座は天頂近くで観測の姿勢が苦しいというわけです。ところが、この四辺形は大きすぎて何処までが四角形に含まれるのかの判断が困難で、しかも同じように天頂近くです。こんな理由で、この候補は取り下げられたのでした。
この四角形をよく見てください。一辺が凡そ赤経の1時間です。北に行くとやや短くなりますが、この四角形の東西の辺を北に延ばすとほとんど北極星に集まります。そして、その西の辺を南に延長すると南の魚座の主星・フォーマルフォートに至ります。この辺は、ほとんど赤経23時の経線と同じ事に気づきます。さらに、東の辺を南に延長するとこれは春分点です。赤経0時の経線と同じだと気づくのです。星の並びが教えてくれる天球の座標とでも言えますね。
ところで、前にも書きましたが、アンドロメダ座の主星αは、ペガサスの四辺形と共通で、どちらの星座にも寄与していて不思議に感じます。アンドロメダの姫の頭とペガサスのおへそを兼ねているのです。20世紀の初めころ、国際天文学連合で星座の数と境界が議論されました。その議論の結果、星座の数は88個と決められ、星も所属する星座が昔の星図を踏襲する事になったのです。こうして、現在ではアンドロメダ座の主星・αとして、アンドロメダ姫の頭が無事に残ったと言うことです。
この事実を元に考えると、ペガサスの四辺形は正確には三角形と言うべきなのかも知れませんね。
ペガサスの 大きな窓に 見る宇宙。 香西蒼天
天馬行き 実りの秋の 夜更けかな。 香西蒼天
国境紛争が各地で発生していて、国際問題にまでなっています。国境があるから起きる紛争です。国境を無くせよとは言いませんが、昔のようにパスポート無しに自由に往来できることを望みたいものですね。
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