天文セミナー 第179回
『星の歳時記』
俳句の5月の季語ので最も馴染み深いのは「麦秋=ばくしゅう」。俳句以外ではあまり目にすることがありません。さらに、「薫風」と言う言葉も見つけることができます。有名な画家、ミレーの作品に「落ち穂拾い」と言うのがあります。コレラの流行を避けてパリからパルピゾンに脱出。このパルピゾンにはその後パルピゾン派と言われる様になる何人かの画家が集まり、農村の風景を描き始めます。彼らは、労働と収穫の喜びと共に農夫の日々の暮らしをも絵の外に表現していると私は感じるのです。パルピゾン派の作品を見ると、夕刻の薄暗くなり始めた西空に、淡く光る「月」や「星」を見つけることができます。月の欠け具合から月齢を求めて描かれた場所の緯度を推察したり、また黄道とおぼしき場所にある明るい星を「金星」と見立てて描かれた年月を推測するなど、絵の描かれた時の雰囲気を感じるのも楽しいことです。ヨーロッパの収穫時期は何時なのでしょう。そして、やはり「麦秋」とでも言えるような状況なのでしょうか。きっと「麦秋」という言葉が示すように日本人の細やかな、自然に対する感性しか感じ得ないものなのではないかと、私は思っているのです。 |
次 回も、お楽しみに |