天文セミナー 第153回
『日本の民間天文台(V)田上天文台』『日本の天文アマチュアの活躍(V)黄道光観測』
京都大学を退官した山本一清氏は、実家のある滋賀県大津市の田上に私立の田上天文台を設立。そして、この天文台にイギリスから購入したカルヴァー社製の45cm反射望遠鏡を設置。多くの天文アマチュアの使用に供しましたが、ここでも無給の志願助手が何人も育てられたのでした。そして、この頃に山本一清氏の薫陶を受けた人たちが、現在もさらに若い世代の育成に努めているのは特筆に価するでしょう。 |
黄道光は、太陽系の内部の微小な粒子が黄道面に集まり、太陽光を反射して見える舌状の淡い光です。この光の正体を見届けようと、1930年代初期の国際天文学同盟は委員会を設置し、観測・研究に乗り出したのです。そして、その委員会の会長に山本一清氏が就任し、日本の黄道光観測の扉が開かれたのでした。黄道光の存在は、それ以前から知られていました。この、黄道光は、淡い光なのですが、流星と同じように望遠鏡なしの天文学です。日本の経済が高度成長の波に乗る前、人工灯火が少なく、東西方向の視界が開けた場所では、春の宵の西空と秋の日の出前の東空の低いところに舌状に延びる淡い光を見ることができました。この、黄道光の観測が日本で始められたのは1921年の頃ですが、勢力的に始められたのは、山本一清氏が委員長に就任されてからのことでした。 |
2010年3月の星空 (ここをクリックすると大きな画像になります) |
次回も、お楽しみに |