天文セミナー 第136回

『宇宙ステーション』『地球温暖化』



宇宙ステーション

 現在進行中のNASAのプロジェクトに大きな比重を持つのが宇宙ステーションですね。日本人の宇宙飛行士が乗り込み、日本のNASDA(宇宙開発機構)が作った希望(ホープ)という実験棟も完成し、ステーションに組み込まれ活動が開始される日もそれほど遠くないことでしょう。この、希望と言う名の実験室(棟)は、つくば研究学園都市のNASDAの開発室で多くの実験を繰り返して作られたもので、20年ほど前に実際に入ってみる機会がありました。直径およそ4.5mの巨大な筒状のものでこれが打ち上げられ、ステーションの一部として機能するのか、と驚きの目でみたものです。
 さて、この宇宙ステーションですが内部で働く(研究する)人のための環境維持がとても重要です。先ず、無重量(無重力というのは不適当)の環境で過ごすことになるので肉体的にも精神的にも十分に訓練されていて、さらに環境に適応することが重要でしょう。
 私は、かねてから宇宙飛行士の方々の宇宙から見た宇宙の姿についてのコメントを期待していましたが、まだその疑問に直接回答が得られていません。宇宙飛行士の方々は、多くの実験を繰り返しながら狭い宇宙船の中で過ごしている訳です。そして、船内では外界を見るような窓の設置がなく、殆どが地球の方を向くような状態だそうです。宇宙船の船外活動をされたときに見た宇宙の姿はどんなものなのでしょう。大きな期待で、そのコメントを待ち続けているのです。日本人として最初に宇宙船に乗ったのは、あるテレビ局の記者(秋山氏)でした。その人は実況中継をするのが目的だったそうで、中継時以外は宇宙を見て堪能したそうです。この方に何度かお目にかかり、体験談を聞くことができました。暗い宇宙空間に明るく輝く太陽と、その反対方向に幾つかの明るい星を実際に見たそうです。我われが感じる宇宙の姿、暗い宇宙に光る星ぼし。ぜひ聞きたいものですね。



地球温暖化

 地球が温暖化しているという言葉をしばしば聞くようになりました。京都議定書が国際的に採用され、温暖化に対するブレーキとして炭酸ガス(二酸化炭素:CO2)の排出が規制されることになりました。我われの日常生活で排出する二酸化炭素の量を抑えようと言うものです。
 毎年夏と冬の2回、環境省が行ってきた星空継続観察も、大気環境の保持に対して監視の役目を果たしてきました。そして、交通量の多少が夜空の明るさに関係していることが知られてきました。交通量の増加は二酸化炭素の増加と比例関係にあり、それがさらに夜空の明るさとも比例するのです。天体観測の適地が減少していることもこの事実を裏書しています。
 ところで、地球上で多くの異常気象が発生しているとマスメディアは報じています。海水の温度が上昇し、極地方の氷山が崩れ、海抜の低いところは水没してしまうなどなど。今にも危機が到来するかのように報道されています。本当にそうなのでしょうか。今、地球の年齢を元に考えてみることにしましょう。46億歳と言われる地球の年齢。その時間の中で、我われが科学的に集められるデータは、ほんの数百年にしか過ぎません。そして、残る多くのデータは古い地層や海底、さらに高山の地下に隠されているのです。
 太陽活動の指標とされている黒点の出現数もほんの数百年間しか残されていません。そして、その中には多くの気候の変動が記録されていて、その時代の気候を教えてくれています。しかし、この数百年間といえども、地球の年齢に比べるとほんの瞬時にしかなりません。もっと長い時間で物事を考える必要があるのではないでしょうか。
 天文学的な数字と時間を、長い間扱ってきた者の時代錯誤の戯言でしょうか。




2008年10月の星空

(ここをクリックすると大きな画像になります)
2008年10月の星空です。
夏の大三角が西空に見えるようになりました。。
頭の上から東の空には、秋の四辺形などの秋の星で
いっぱいです。秋の星空は明るい星が少ないので、
東の空はさびしい感じがしますね。

天文カレンダー 惑星たち
   
1日: 月の近くに火星が見える
2日: 月の近くに金星が見える
7日: 月の近くに木星が見える
上弦(半月)
8日: 寒露(太陽黄経195°)
10日: 海王星食(夕方)
15日: 満月○
20日: 秋の土用の入り(太陽黄経207°)
21日 下弦(半月)
22日 水星の西方最大離角
23日: 霜降(太陽黄経210°)
25日: 月の近くに土星が見える(夜明け前)
29日 新月●
水星: 10月半ば頃、明け方の東の空で見ごろです。
金星: だんだんと夕方の西空に見えるようになってきました。これから来年2月くらいにかけて見ごろとなってきます。
火星: 見かけ上、太陽に近いため、しばらくは見づらいです。
木星: 夕方の西空でだんだんと見づらくなります。
土星: 見かけ上、太陽に近いため、しばらくは見づらいです。

次回も、お楽しみに

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