天文セミナー 第96回
『北極星と北辰』『夏至』
梅雨になると、夜空も雲に覆われることが多くなり、星に親しむ機会が少なくなってしまいます。それでも、梅雨晴れの一時、大気が雨に洗われ見事な星空が現れることがあります。そこには、真珠の首飾りを思わせるような星々の連なった「冠座」やギリシャ神話でおなじみの「ヘルクレス座」が悠久の時の刻みを見せてくれます。そして、天の北極近くにはジュリアス・シーザーに不動のものに例えられた北極星が光ります。先月にもお話ししましたように、北極星といえども決して不動ではありません。 |
卯の花の臭う垣根に・・・・。 昔、口ずさんだ懐かしい歌の一節です。梅雨のうっとうしい空気。その中で、ほのかに臭う卯の花。日本情緒溢れるような情景です。そして、この歌詞の終わりは、・・・・夏は来ぬ。夏の到来です。6月と言えば、日本ではまだ梅雨の真っ最中なので夏の実感にはほど遠い感じがしますが、太陽の地平高度は1年中で最も高く、ほとんど頭の真上から照りつけるようです。太陽が、天の赤道から最も北に来るのは6月の21日15時46分。そして、その時の赤道からの角距離は23度26分25秒。この時の佐治天文台での地平線からの高度は78度05分54秒に達します。人が、通常頭の真上と感じるのはおよそ60度ほどなので、78度と言えばほとんど間違いなく頭の真上と感じることになります。部屋の中に寝ころんだ見た天井の模様を立ち上がって上を見たときの見え方と比べると、その差が明らかになるでしょう。実際に確かめてみてください。さて、この夏至の時の太陽の出入りの方角はどうなるのでしょう。例えば北極や南極では?。北極では、24時間いつも太陽は地平線の上で地平線に沿って回り続けていますし、また南極では太陽は地平線の下になっていて見ることはできません。そして、地球の北半球の夏では赤道に近づくほど太陽が地平線の上に見える時間は短くなります。
|
次回も、お楽しみに |