天文セミナー 第80回
『冬の夜話』『巨人と小人』
凍るような晴れた夜、勇気を出して屋外に出て夜空を見上げてみませんか。無数に輝く星々が、寒風にふるえながら呼びかけ、語りかけているように見えます。特に、中国大陸からの高気圧が強く張り出した夜など、星々の瞬きやさえずりは一層激しくなります。
今、仮に総ての星は実際には同じ明るさ、と考えましょう。すると、明るい星は近く、暗い星は遠いことになりますね。同じように考えると、明るい星が多い冬の夜空の方が夏の夜空より近いことになります。私たちの銀河系は、10万光年ほどの直径であることが知られていて、太陽系は銀河系の中心から2.8万光年ほど離れた場所にあるのです。 |
ガリバー旅行記は、多くの人たちが少年少女時代に親しんだ一種の冒険空想物語ですね。リリパット(小人国)渡航記とブロブディナグ(大人国)渡航記は中でも最も親しまれたものでした。大勢の小人や大人の歓待を受けたり、その果てには日本にまでやってくると言う物語ですね。
さて、1844年のことです。恒星の固有運動の観測を行っていた天文学者F.W.ベッセルは、全天で最も明るいおおいぬ座のα星・シリウスの運動が波状であることに気付きました。そして、この現象の説明として見えないほど暗いお供の星(不可視伴星)があり、シリウスとこの見えない星はお互いに共通の重心の廻りをおよそ50年の周期で楕円運動をしているのではないかと考えました。1862になって、光学技師A.クラーク父子はアメリカの海軍天文台に納入する口径65cm屈折望遠鏡のテストに、このシリウスを使いました。クラーク父子は、そこにベッセルが推測したとおりに暗い伴星を見つけたのでした。その後、多くの観測が行われた結果この暗い伴星は太陽と同じ位の質量にもかかわらず半径は太陽の30分の1ほどしかないことが分かったのです。この結果、この星の平均密度は水の4万倍もあると推測されたのでした。最初の白色矮星の発見です。
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次回も、お楽しみに |