天文セミナー 第79回
『光陰矢(箭)の如し』『円錐曲線』
月日が経つのは、弓を離れた矢が飛んで行くように速いものだ、という例えですね。少年時代には中々時間が経過しなかったにもかかわらず、年を重ねるに従ってそれこそ「アッ」と言う間に時間が過ぎ去って行きます。
ここで天文の通常観測と同時に行われていたのがレーザーによる月や人工衛星の観測でした。レーザー光線は高エネルギーのため、発射するときには観測所の屋上に設置されている赤色の灯火が点灯され回転し注意を喚起するのです。回転灯が点灯されしばらくするとレーザー発射用の望遠鏡から赤い色の光が飛び出します。ルビーの励起を応用したルビーレーザーが使用されていたのです。そして、その光線は極度に短い時間だけ発射されるために一見、赤い光の矢が中天に向かって飛び出して行くように見えるのです。この光の矢を見ながら「光速って意外に遅いものだなー」と感じたこともありました。勿論、秒速30万kmで飛び出すのですから実際の光が飛び去るのが見えたわけではありません。肉眼の残像が見せる虚像に過ぎないのですが。光陰矢の如しですね。 |
平面状の真円の円周の総てから、同じ平面にない等距離の一点を結んでできる立体のことを真円錐と言いますね。この円錐を切ったときにできる切り口の曲線を円錐曲線と言います。平面に併行に切ると円、斜めに切ると楕円、円錐の中心線に併行に平面まで切ると双曲線、そして円錐の側面に平行に切ると放物面になりますね。
例えば、地球が今年太陽に最も近くなるのは1月5日03時で、その時の太陽からの距離は1億4710万km、そして最も遠くなるのは7月5日20時で1億5210万km。500万kmも変化するのですね。距離が変われば、見掛けの大きさも変わります。最も近い1月上旬は32分32秒角ですが、最も遠い7月上旬には31分28秒角にまで変化するのです。
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次回も、お楽しみに |