天文セミナー 第72回
『星食(掩蔽;えんぺい)観測と海外遠征』『ジューン・ブライド』
先月のお話を続けることに致しましょう。先月のお話のような観測を、掩蔽の等縁観測と呼びましたが、この観測には幾つかの問題がありました。先ず第1には、月の縁の凹凸の状況や、月の運動理論が確立していませんでした。さらに、地球上の位置を示す座標である経緯度の値が国際的にはマチマチであって統一されていないという問題もありました。
2002年4月から、地球に関する値が改正され、場所を示す経緯度の値が世界共通になりました。さらに、人工天体によって観測の精度が向上し、最近ではカーナビなどでお馴染みの GPS、全地球測位システムが利用されるようになって地球上の位置も一段と精度が上がり、また容易に求められるようになりました。そして、時計さえも標準電波によって規制され1秒の誤差もないようなシステムが開発され、多くの人の腕に巻かれて時を刻みます。地球を測ることは、大昔から現在に至るまでの大きな問題でした。そして、1948年5月9日の北海道礼文島の皆既日食を期に開始された短波による精確な秒信号の放送と、地球規模での座標・経緯度の決定だったのでした。 |
June bride。6月の花嫁。言葉のいわれは、ローマ神話の結婚の守護神ユノ(Juno)に因んでいます。ところで、この6月を表す言葉、例えばラテン語ではMaius(マイウス)、フランス語ではjuin(ジュアン)、英語のJune(ジューン)も元はと言えば、やはりこのローマ神話のユノに由来するとも言われています。ローマ神話のユノについては、皆さんはもう既に良くご存知のはず。
ところで、今月の夕空を見上げて見ましょう。西に傾いたしし座、その北には大熊座。しし座に乗りかかっているのが大熊座ですね。そして、しし座はまもなく西の地平線に沈み、見えなくなくなります。冬から春へと季節が進むとしし座は一休み。その位置を次のおとめ座に譲ります。
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次回も、お楽しみに |