天文セミナー 第63回
『池谷−関彗星』『今年の中秋の名月』
日本人の天文愛好者にとって、いくつかの忘れられない彗星があります。1965年9月18日の早朝、静岡県浜松市の池谷薫氏と高知市の関勉氏によって発見された池谷-関彗星もその1つではないでしょうか。この彗星は、発見され観測が集まると太陽に非常に近づくことが判りました。最も近づいたときには太陽の表面を掠めるように移動するのではないかと、予報されたのです。これまで、太陽に非常に近づく彗星がいくつか発見されていて、このような彗星を研究した研究者の名前を被せてクロイツ群の彗星と呼ばれてきました。そして、これらのクロイツ群の彗星は元々1つの彗星だったのが、何かの原因で分裂してそれぞれが運動しているのではないか、と考えられるようになりました。
池谷-関彗星のように太陽に非常に接近する彗星は、太陽の強い光に妨げられて発見の機会が少ないのです。その後、太陽を観測する人工衛星が次々に打ち上げられました。これらの人工衛星に搭載されていたコロナグラフで撮影された写真から、続々と太陽近辺で彗星が発見されたのです。これらの彗星は、太陽を掠めて通りすぎるもの、太陽に突っ込んで消滅するものなど様々でした。このように、太陽に非常に接近する彗星も数多くあることを教えてくれているのです。 |
毎年繰り返される質問が、中秋の名月の日付でしょう。今年のその日は9月21日。そして、秋分は9月23日。秋分の日の2日前です。ところで、仲秋は旧暦で秋分を含む月と決められています。そして、この月が8月。ちなみに、7月は孟秋、9月は季秋と呼ばれます。したがって、中秋の名月は旧暦の8月の月のこと。ここで、間違えてはいけないことは、この名月は満月の日とは限らないことです。なぜでしょう。それは、中秋の名月は8月の15夜と決められているからです。15夜、いうまでもなく満月とお思いかもしれませんが、15夜とはその月の15番目の月のこと。15夜が満月の前後になってしまうこともしばしばです。
ところで、旧暦は太陰太陽暦と言われ、月の満ち欠けと季節を組み合わせてあります。月の満ち欠けを基準に数えると太陽暦の1年より短くなります。そこで考えられたのが閏月。8月に閏月が加えられると閏8月。この年には、仲秋が2度あり、したがって中秋の名月も2回愛でられることになりますね。 |
2002年9月の星空 |
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次回も、お楽しみに |