天文セミナー 第53回
『カシオペヤ』『二重星団』
11月になると、そろそろ紅葉も見頃になり、朝夕は気温も低く空気も肌に冷たく感じるようになります。北極星の北東には、Wをやや下向きにしたカシオペヤ座が懸かります。この時期、北極星を見つける目印として親しまれているのがこのカシオペヤ座です。
このカシオペヤ座が北極を指し示す頃、北斗七星は地平線に近く、ひしゃくで水を汲みに出かけます。秋の夜長のひとときを、神話や伝説を思いながらも、それにとらわれず自分の星座作りに過ごすのも楽しいものです。 |
カシオペヤ座とお隣のペルセウス座の境で、天の川の中に紛れ込んでいるのが二重星団。宝石箱をひっくり返したのではないかと、思いたくなります。天の川の流れにひっそりと、しかしきらびやかに光ります。ペルセウス座のh&χ(エッチ & カイ)として知られる二個の散開星団です。距離はおよそ7000光年と8000光年。星の数は300個と240個ほどです。散開星団は、散光星雲から誕生して間もない星々の集団だということが知られていて、星の進化を研究するための大きな手がかりを我々に与えて呉れます。
秋も深まったこの頃になると、大陸育ちの乾いた高気圧が日本を覆います。北西の風が木立を揺すって駆け抜けます。冬を目の前にして、越冬の準備が各地で始まります。星々の光も、この北西の風に揺り動かされているのです。 |
次回は、「ふたご座流星群」、「冬至」です。 |