鳥取市

天文セミナー第234回(2016年12月)「名付け親の楽しみ。」第18回 堂平とその周囲登録日:

天文セミナー 第234回 『名付け親の楽しみ。』

第18回 堂平とその周囲

No.58
(14313) Dodaira=堂平=1976UZ7 発見日:1976 Oct.22

No.59
(14314) Tokigawa=都幾川=1977DQ3 発見日:1977 Feb.18

No.60
(14315) Ogawamachi=小川町=1977EL5 発見日:1977 Mar.12

No.61
(14316) Higashichichibu=東秩父=1977ES7 発見日:1977 Mar.12

 東京天文台堂平観測所が開所したのは1961年秋。所在地は、埼玉県比企郡都幾川村でした。この観測所があるのは、標高876mの堂平山。見渡す限りの関東平野。東には筑波、北は那須連山から日光の山々、北西の目前には浅間。言うなれば大きな見晴台です。

 この堂平観測所の建設に際して多くの協力を頂いたのが山麓にある上記の町村でした。

 観測所への道は通常、都幾川村を通り白石峠を経て剣が峰から観測所へ。都幾川村は杉の名産地で、多くの銘木が育ちます。従って林業と木工業が村の収入を支えます。中でも最も盛んなのが建具細工。木工所の庭先では杉材と完成品の乾燥が行われ、家内では、多くの細工物が造られています。都幾川村の北側にあるのが東秩父村。杉材を主力にした林業が盛んです。その東側が小川町。鳥取市佐治町や鳥取市青谷町で造られる和紙の生産が盛んで、和紙で造られた七夕飾は特に有名です。冬の日の清らかな川の流れに身を浸しての作業は大変な苦労。 ここで一寸脇道へ。この小川町に「二葉」と言う料理屋があります。堂平への往復の途次、この店で昼食を食べるのが楽しみでした。養殖ではなく天然物のウナギ。店内を見回すと、幕末に活躍した勝海舟と親しかった北辰一刀流の達人・山岡鉄舟の書が懸けられていました。訳を聞くと、なんとビックリ。鉄舟が代々続く領地への往復に際して、この二葉に立ち寄り好物のウナギを食べて、その時に書き残してくれたのだそうです。この二葉は、その後「鉄舟資料館」を併設して、希望者に開放しているとか。

 また、和紙で造った七夕飾りが、町の通りに張り巡らされるのは壮観でした。今回、世界遺産に登録されたのは、皆さんもご存じのはず。

 この町村に支えられて、40年ほどの間、東京天文台堂平観測所は活躍して来ました。が、何しろ眼下は関東平野。光の海です。さらに、観測機器も老朽化して近代の観測に適さなくなって来ました。ハワイにすばる望遠鏡が建設されると、この施設の維持管理もまま成りません。遂に、閉鎖と言うことになってしまいました。しかし、望遠鏡は当時の日本の光学技術の粋を結集して造られたものです。閉鎖するとはいえ、破壊するわけではありません。地元の有志の方々が集まり、堂平観測所を再起させて運営。多くの参観者に天体の美しさと不思議、さらにこの36インチ反射望遠鏡の由来を熱っぽく話して呉れているそうです。

 近くの秩父市周辺には、観音霊場として多くの巡拝者の信仰を集める、秩父観音霊場が三十四箇所。他の二霊場は三十三箇所。総てで百箇所の観音霊場になるのだそうです。

 これらのことや、私の思い出・足跡を背景に、堂平観測所のメモアールとしての命名です。

2016年12月の星空

(ここをクリックすると大きな画像になります)

2016年12月の星空です

 夕方、南西の低空に明るい星が二つ見えます。ひときわ明るき見える方が「宵の明星・金星」、少し赤っぽい方が「火星」です。毎日少しずつ離れ具合が変わりますので、晴れた日は注目してください。

「秋の四辺形」が少し西に傾き、東の空には「オリオン座」をはじめとする冬の星たちが昇ってきました。1等星が多いので、にぎやかな感じです。明るい星たちの色の違いも、観察してみましょう。

次回も、お楽しみに

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