国指定史跡「鳥取城跡」中ノ御門表門(大手門)の復元について更新日:
鳥取三十二万石大手門、堂々開門
令和元年11月より復元工事に着手していた、鳥取城大手門にあたる「中ノ御門表門(なかのごもんおもてもん)」が、この春ついに完成を迎えます。虎口を広くひらいた桝形石垣の幅いっぱいに高麗門を構え、左右の土塀を門の屋根と同じ高さまで立ち上げる大手門は、鳥取城の正面玄関に「個性」を持たせています。
大手門創建400周年を迎える令和3年(2021)、10年にも及ぶ発掘調査の成果とともに、工匠たちによる伝統技術を駆使することで、鳥取城全体の特長を最もよく示す江戸時代末期の姿で再びひらかれます。全長10.2m、全高5.0m。屋根には出土瓦に基づき精巧に復元された「葵紋(あおいもん)瓦」が軒を連ね、全国12番目の石高を誇った鳥取藩の栄華を未来に伝えます。
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■左:大手門復元CG(提供:戸田建設株式会社)/右:大手門正面立面図
中ノ御門表門(大手門)の歴史
鳥取城の大手門にあたる中ノ御門表門は、元和7年(1621)に藩主池田光政によって創建されました。享保5年(1720)の大火で焼失しますが、同年中に再建され、長きにわたり藩の威厳を示します。鳥取城は、廃城令において軍事的価値が認められ存城となりましたが、明治12年(1879)にはその役を終え、城内主要建物がすべて解体されます。このうち大手門は、明治8年(1875)に解体されました。
■大手門周辺古写真(撮影:明治8年以前)
復元大手門に葵紋瓦を使う理由
鳥取藩の家紋といえば「揚羽蝶紋(あげはちょうもん)」が有名ですが、中ノ御門表門周辺からは「葵紋(あおいもん)」の瓦が複数出土しています。「葵紋」といえば江戸幕府を開いた徳川家康の家紋であり、その使用は厳しく制限されていました。しかしながら、大手門を創建した池田光政の後に長く鳥取藩を治めた鳥取池田家の初代・池田光仲が徳川家康のひ孫にあたることから、鳥取藩は後に将軍家から養子を賜るなど江戸幕府とのつながりが深く、外様大名では唯一「葵紋瓦」の使用が許されていました。このたびの復元では、史実に基づくとともに出土した葵紋瓦を精巧に復元しました。
■左:出土瓦と復元瓦/右:大手門周辺発掘状況
中ノ御門表門(大手門)の復元工事
R2.8.27 「安全祈願祭(法要)」を挙行
令和元年11月に工事に着手し、木材の製材や屋根瓦の製作に目途がたったことから、現場着工を前に「安全祈願祭」を令和2年8月27日に行いました。安全祈願には、池田光仲の時代より鳥取城内の法要を取り仕切り、陸軍が入る明治3年頃まで務めあげた大雲院が一世紀半ぶりに城内法要を執り行いました。法要は古式に倣い、17世紀以降に大雲院の末寺となり鳥取城の鬼門鎮護の寺院として庇護された摩尼寺の本尊「帝釈天」を記した護符を祭壇に掲げ、大手門の永久鎮護を祈願しました。
■左:安全祈願の様子/右:大雲院住職による土砂加持
R2.9. 24 「立柱式」を挙行
大手門の主要柱である「鏡柱」、「袖柱」、「寄掛柱」の現場加工が終わり、組立の準備が整っため令和2年9月24日に「立柱式」を行いました。立柱式は、主要な柱を建てる際に行われる祓い清めの儀式とされ、現場代理人を筆頭に大工やクレーン操縦者等関係者が参列しました。大手門の四方と中央に清め塩を模した切木綿(きりゆう)と御神酒を撒いて清める「四方祓の儀」を行い、「鏡柱」と「袖柱」に楣(まぐさ)・羽目板(はめいた)を落とし込んだ躯体(くたい)をクレーンで吊り込みます。入念な位置合わせが行われ柱が礎石のホゾ穴に落とし込まれると、現場代理人が手に持つ扇子で基礎部を指し、「よし!」の掛声で儀式は終了しました。
■左:立柱式「四方祓の儀」の様子/右:入念に柱位置を確認する職人
R2.10.25 「上棟式」を挙行
大手門の柱・梁等の組み上げが完了したことから、棟上げをお祝いする「上棟式」が令和2年(2020)10月25日に行われました。鳥取城大手門は1720年に大火により焼失し同年中に再建されたことから、このたびの大手門の復元は実に300年ぶりに上棟式を迎えたことになります。秋晴れのなか、平成30年に竣工した擬宝珠橋を会場に、県内外から棟上げを祝おうと約600名の観覧者が集まりました。大手門の棟まで組み上げられた祭壇には伝統装束を身にまとった工匠が袖を連ね、古式にのっとり「曳綱の儀」、「槌打ちの儀」、「撒餅・撒銭の儀」が行われ、大手門の永久堅固と本市の繁栄を祈願しました。式典後は大手門に使用した伝統技術を知ってもらおうと、木組パズルやカンナ削り、土居葺などの体験イベントを開催し、多くの方に参加いただきました。
▼詳細はコチラ 【動画】鳥取城跡中ノ御門表門上棟式 (鳥取市公式YouTubeチャンネル)
■左:上棟式「曳綱の儀」の様子/右:「槌打ちの儀」で棟木を納める工匠たち
R3.3.13 「竣工式」を挙行
約1年半にわたる復元工事を経て大手門が無事完成したことから、令和3年3月13日に竣工式を行いました。式典当日は、市長による「開門号令」により、大手門が146年の時を経て再び開かれました。また、大手門の竣工を祝おうと例年秋に開催されていた「鳥取三十二万石お城まつり」が同時開催され、商工会議所青年部らが扮する奴隊、殿、姫とともに、伝統衣装を身に着けた馬による時代行列を先頭に、県内外より集まった観覧者2,000人が大手門のくぐり初めとお城まつりを楽しみました。
■左:大手門のくぐり初めを楽しむ来場者/右:鳥取三十二万石お城まつり「火縄銃鉄砲隊演武」
鳥取城跡中ノ御門表門の地図
鳥取城跡中ノ御門表門
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