鳥取市

腸管出血性大腸菌(O157等)による食中毒にご注意ください。(令和4年にも死亡事故が発生しています)登録日:

1. 食中毒事例

 1996年(平成8年)に学校給食での大規模な食中毒が発生し、全国で大きな社会問題となりました。その後も腸管出血性大腸菌による食中毒が発生しており、様々な事例があります。

 2022年(令和4年)にも京都府内で腸管出血性大腸菌(O157)による食中毒事件が発生し、90代女性1名が亡くなりました。

(1)食肉販売業者が「レアステーキ」と称して生の食肉を販売した事例(NEW)

 令和4年8月に京都府内の食料品店で調理販売した「ローストビーフ」及び「レアステーキ」を喫食した9歳から90代の23名(9月15日時点)が食中毒を発症し、うち1名が亡くなった。調査の結果、当該施設は生食用食肉を提供可能な施設ではなく、「ローストビーフ」及び「レアステーキ」の加熱不足が食中毒発生の原因と推定された。なお、商品名「レアステーキ」の形態は、加熱による変色がない部位の細切りであり、社会通念上「ユッケ」と呼称されるものであった。

 生食用食肉を取扱う事業者は、以下の点に注意してください。

  • 施設の基準を満たした生食用食肉を取扱うことができる営業許可が必要です。

(2)老人ホームでの未加熱の野菜調理品による事例

 平成28年9月14日に老人ホームで提供されたきゅうりのゆかり和えを喫食したことにより、84名が腸管出血性大腸菌による食中毒を発症し、うち6名が亡くなった。調査の結果、きゅうりのゆかり和えからも腸管出血性大腸菌が検出されたことから、野菜が充分に消毒されていなかったことが原因であると推定された。

 対策として、特に抵抗力が弱い高齢者等に野菜を加熱せずに提供する場合は、次亜塩素酸ナトリウム等による殺菌することが重要である。

(3)飲食チェーン店でのユッケによる事例

 平成23年4月19日に飲食チェーン店で提供されたユッケを喫食したことにより、181名が腸管出血性大腸菌による食中毒を発症し、うち5名が亡くなった。ユッケは生食用でない牛肉を調理したものであり、検査結果等より、既に牛肉に腸管出血性大腸菌が付着しており、汚染されていたと推測された。

 対策として、以下の3点が重要である。

  • 生食用でない食肉の喫食はしないこと。
  • 食肉は既に汚染されている可能性が高いため、十分に加熱をすること。
  • 本件の患者は若者が多かったことから、抵抗力が弱い人は食中毒のリスクが高い食品の摂取を避けるべきであること。

2. 腸管出血性大腸菌とは

腸管出血性大腸菌

病原大腸菌の一種。ベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こすことがある。

代表例として、O157があり、大規模食中毒を引き起こし、死亡例がある。

その他に、O26、O111、O121などが知られている。

大腸菌 家畜や人の腸内にも存在し、様々な種類の菌があり、通常病原性はない。
病原大腸菌 大腸菌の一種。人に下痢などの消化器症状、発熱や合併症を起こすことがある。

3. 症状などの特徴

(1) 主な症状

水様性の下痢と通常38℃以下の発熱や倦怠感など感冒様症状を伴うことが多い。

全く症状が無い場合から軽い腹痛や下痢のみで終わる場合もある。

(2) 重症化した場合

激しい腹痛と血便を主症状とする出血性大腸炎を呈し、まれに、溶血性貧血、血小板減少及び急性腎不全の3つを特色とするHUSや脳症などの重篤な疾患を併発し、死に至る場合がある。

特に小児や高齢者など、抵抗力の弱い方は、重症化しやすい。

(3) 潜伏期間 潜伏期間は最短 1 日から最長 14 日、平均 4~8 日とされている。
(4) 排菌期間 排菌は、症状が消失した後も続き、5 歳以下の年少者で発症後 17 日間排菌が認められたとの報告がある。
(5) 無症状感染者の場合

感染が発覚し、全く症状が無い場合でも、他人に腸管出血性大腸菌をうつす可能性があります。便の検査で腸管出血性大腸菌が陰性になるまでの間は飲食物の調理や飲食物に直接触ることは避けましょう。

4. 原因食品

 牛などの家畜が保菌している場合があり、(1)これらの糞便に汚染された食肉からの二次汚染(人の手や器具を介して菌が付着し、食品が汚染されること。)された食品を喫食すること(2)感染者の糞便に含まれる大腸菌が食品を介するなどして口から入ること※1により、腸管出血性大腸菌に感染する可能性があります。そのため、あらゆる食品が原因となる可能性があります。また、わずか50個程度の菌数でも感染するといわれており、取扱いに注意が必要です。

(過去に原因となった食品例)

食肉類

牛レバー刺し※2、ユッケ※3などの生肉、加熱不十分であった焼肉、ハンバーガー、ローストビーフ

野菜 冷やしキュウリ、レタス、ほうれん草など未加熱の野菜
果物 メロンやアップルジュースなど
調理済み食品 浅漬けやいくらなど
その他

井戸水

※1:感染者から、空気感染や接触感染することはありません。

※2:現在は法律により提供が禁止されています。違反した場合は罰則が適用されることがあります。

※3:提供する際には保健所への届出又は許可が必要で、加工又は調理基準等に適合した方法で取り扱う必要があります。

5. 対策方法は?

(1)生野菜などはよく洗いましょう。

(2)食品の加熱は、中心部の温度が75℃、1分間以上となるように十分に行ってください。温度計やタイマーで測定したり、焼き色等で十分に加熱されていることを確認してください。

(3)調理をする際、盛り付け前、食事の前には石けんで十分に手洗いをし、ペーパータオルでよく拭いた後、十分な量のアルコールで消毒してください。

(4)生肉と加熱後の食品を扱うトング等の器具はそれぞれ用意し、共有しないで使い分けすることで器具の汚染を防ぎましょう。

(5)井戸水などのうち、殺菌されていない水を飲用する際は、煮沸するなど殺菌してから飲みましょう。

(6)重症化しやすい小児や高齢者の方は、生食用食肉や加熱不十分な食肉などの感染源となる可能性の高い食材は避けましょう。

6. 症状がみられたら・・・

 激しい腹痛や激しい下痢(特に血便)があった場合は、すぐにかかりつけの医師の診察を受けましょう。

 また、症状がある場合は、調理を行わないようにしましょう。

7. もっと詳しく知りたい方はこちら

・厚生労働省HP:腸管出血性大腸菌Q&A

8. 参考文献

・社団法人 日本食品衛生協会(2013)『食中毒予防必携 第3版』大日本法令印刷株式会社

・食品安全委員会HP:食品健康影響評価のためのリスクプロファイル~ 牛肉を主とする食肉中の腸管出血性大腸菌 ~

 

このページに関するお問い合わせ先

鳥取市保健所 生活安全課
電話番号:0857-30-8552
FAX番号:0857-20-3962

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