鳥取市差別のない人権尊重の社会づくり条例は、2011(平成23)年に施行し、鳥取市に暮らし、働き、学び、集う全ての人の人権が尊重される社会の実現をめざして、市民と協働し、差別のない人権尊重の社会づくりの取組を進めてまいりました。
条例施行から10年以上が経過し社会情勢の変化や価値観の多様化に伴い、人権に関する問題が複雑化している状況を踏まえ、差別のない人権が尊重される社会づくりを一層推進するために「鳥取市差別のない人権尊重の社会づくり条例」を改正しました。(令和5年4月1日から施行)
改正の概要
1 「市の責務」の追記
新たな人権課題として、条例第2条「市の責務」に、感染症、犯罪被害者及びその家族又は遺族、性的指向及び性自認を追加
近年、新型コロナウイルス感染症やワクチン接種に関する差別や誹謗中傷、性の多様性に関する偏見等、新たな人権問題が発生しています。また、犯罪被害者支援への取組の充実も求められているところです。これらのことを踏まえ、感染症、犯罪被害者及びその家族又は遺族、性的指向及び性自認を追加することとしました。
2 「事業者の役割」を新たに追加
企業には、SDGsへの取組や企業の社会的責任への社会的要請が高まっています。国の法改正により、職場のハラスメント防止対策や仕事と育児の両立など働きやすい職場づくりの推進、また、障がい者が利用しやすい配慮や取扱が義務化されるなど、事業活動における人権尊重の取組が一層求められています。
このたび、「事業者の役割」として、事業活動において差別のない人権尊重の社会づくりに寄与するよう努めること、市と市民と協働して差別のない人権尊重の社会づくりに努めることを新たに追加します。
鳥取市差別のない人権尊重の社会づくり条例(改正後全文)
全ての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等であるとした世界人権宣言の理念は、人類普遍の原理であり、日本国憲法においても、法の下の平等及び基本的人権の保障が定められている。
この理念の下に、私たちは、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消と人権の確立に努めてきた。
しかしながら、社会状況の変化により、インターネットにおける人権侵害等の課題も生じてきており、今日でもなお、さまざまな差別、偏見及び人権侵害が依然として存在し、解消されていないのが現実である。
このような状況において、鳥取市に、暮らし、働き、学び及び集う全ての人の人権が尊重され、差別、偏見及び人権侵害のない人権尊重都市鳥取市を実現するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、差別、偏見及び人権侵害のない人権尊重の社会づくり(以下「差別のない人権尊重の社会づくり」という。)に関し、市の責務並びに市民(市内に在住する人、市内で働き、又は学ぶ人をいう。以下同じ。)及び事業者(市内において事業又は活動を行う団体をいう。以下同じ。)の役割を明らかにし、人権擁護に資する施策及び人権意識の高揚を図るための施策(以下「人権施策」という。)の推進のための必要な事項を定め、さまざまな人権課題の解決への取組みを推進し、もって、全ての市民の人権が尊重される社会の実現を図ることを目的とする。
(市の責務)
第2条 市は、前条の目的を達成するため、市政における全ての分野において人権尊重の視点に立ってそれぞれの施策を行うとともに、人権施策を推進するよう努めるものとする。
2 市は、部落差別をはじめ、女性、障害者、子ども、高齢者、在日韓国・朝鮮人をはじめとする外国人、ハンセン病回復者をはじめとする感染症等の病気に関わる人、犯罪被害者及びその家族又は遺族、性的指向及び性自認等に対する差別、虐待等あらゆる人権侵害をなくすため、人権施策を積極的に推進するよう努めるものとする。
3 市は、人権施策を効果的に推進するため、必要に応じて、人権問題における分野ごとの実態把握に努めるものとする。
4 市は、人権施策を推進するに当たっては、国、県、関係団体等との連携に努めるものとする。
(市民の役割)
第3条 市民は、あらゆる生活の場において、互いに人権を尊重するよう努めるとともに、差別のない人権尊重の社会づくりに関し、市はもとより自らも主体的かつ積極的な役割を果たすよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第4条 事業者は、事業活動に関わる全ての人の人権を尊重するとともに、その事業活動において、差別のない人権尊重の社会づくりに寄与するよう努めるものとする。
(市民、事業者及び市の協働)
第5条 市民、事業者及び市は、協働して、差別のない人権尊重の社会づくりに努めるものとする。
(人権施策基本方針等)
第6条 市長は、人権施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本となる方針(以下「人権施策基本方針」という。)を定めるものとする。
2 人権施策基本方針は、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 差別のない人権尊重の社会づくりの基本理念に関すること。
(2) 人権意識の高揚を図るための人権教育・啓発に関すること。
(3) 人権問題における分野ごとの施策に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、人権施策を推進するために必要な事項に関すること。
3 市長は、人権施策の推進を、市の総合計画に位置付けるものとする。
4 市長は、多様で複雑化する人権に関する相談に対応するため、相談窓口その他必要な支援体制の充実に努めるものとする。
(鳥取市差別のない人権尊重の社会づくり協議会)
第7条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、差別のない人権尊重の社会づくりを推進するための事項について調査及び審議するため、鳥取市差別のない人権尊重の社会づくり協議会(以下「協議会」という。)を置く。
2 市長は、人権施策基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、協議会の意見を聴くものとする。
3 協議会は、差別のない人権尊重の社会づくりに関する事項に関し、市長に意見を述べることができる。
4 協議会は、必要に応じて公聴会を開き、広く市民の意見を聴くことができる。
(協議会の委員)
第8条 協議会は、委員20人以内で組織するものとし、市長が次に掲げる者のうちから委嘱する。
(1) 学識経験のある者
(2) 民間団体に属する者
(3) 公募による者
2 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(協議会の会長及び副会長)
第9条 協議会に会長1人、副会長1人を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、協議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(協議会の会議)
第10条 協議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 協議会は、委員の半数以上が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(協議会の庶務)
第11条 協議会の庶務は、総務部において処理する。
(協議会への委任)
第12条 第8条から前条までの規定に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。
(鳥取市における部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例の廃止)
2 鳥取市における部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例(平成6年鳥取市条例第21号)は、廃止する。
(経過措置)
3 この条例の施行の際現に廃止前の鳥取市における部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例(以下「廃止条例」という。)第8条の規定に基づく委員は、この条例第7条の規定に基づく委員とみなす。この場合において、当該委員の任期は、廃止条例の規定による任期の残存期間とする。
附 則(令和5年3月27日条例第2号)
この条例は、令和5年4月1日から施行する。
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