小惑星「長谷敏司」の命名登録日:
鳥取市さじアストロパークで発見した「小惑星(100691) 1997 YF7」の名前として、鳥取市佐治町出身の実業家・長谷敏司(はせ としつか)氏の名前を、2023(令和5)年6月下旬に国際天文学連合へ命名提案し、2024(令和6)年2月26日に国際天文学連合・小天体命名委員会が発行した『WGSBN Bulletin Volume 4, #3』に掲載され、正式に命名されました。さじアストロパークでの命名は18個目です。
鳥取市さじアストロパークにある103cm反射望遠鏡(愛称:キラット望遠鏡)で
とらえた小惑星「Hasetoshitsuka」(矢印の星)。1997年12月27日撮影。
発 見 者:鳥取市さじアストロパーク(宮本 敦)
発 見 日:1997年12月25日(世界標準時)
発見場所:おうし座の中
確定番号:100691(仮符号 1997 YF7)
太陽からの平均距離:3億5400万km(地球と太陽の距離の約2.4倍。火星と木星の軌道の間)
公転周期:3年7ヵ月
推定直径:1.2km~2.4km
2024(令和6)年3月現在、この天体は春の星座・おとめ座の方向にあります。明るさは約20等です。この明るさは肉眼で見ることができる最も暗い星である6等星の40万分の1という微かな明るさです。そのため、103cm望遠鏡を直接目で覗いても見ることができません。103cm望遠鏡にカメラを付けて撮影すれば、微かに写るくらいの明るさです。
☆小惑星「Hasetoshitsuka」命名文
『WGSBN Bulletin Volume 4, #3』に掲載された命名文は以下の通り。
(100691) Hasetoshitsuka = 1997 YF7
Discovery: 1997-12-25 / Saji / Saji / 867
Hase Toshitsuka (1903–1991) was a Japanese businessman who wished for the
development of Saji, Tottori City (his hometown), invested in local companies and
contributed to numerous charitable donations for youth development. He also received the
Order of the Sacred Treasure.
【訳】長谷敏司 (1903-1991)は日本の実業家で、鳥取市佐治町(彼の故郷)の発展を願い、地元企業への
出資や青少年育成のための寄付寄贈活動にも尽力した。瑞宝章も受章している。
☆長谷敏司 氏について
1903年(明治36年) 現鳥取市佐治町に生まれる
1931年(昭和 6年) 東京の銀座「サロン春」に日本料理部主任として招かれ上京
1950年(昭和25年) 共同経営により「八芳園」を開業、その後、単独経営者となる
1952年(昭和27年) 所有者から八芳園を譲り受け、株式会社として正式に登記
1964年(昭和39年) 東京オリンピックでプレスハウス・レストラン運営実行委員長を務める
長年の功績により、紺珠褒章、藍綬褒章、勲三等瑞宝章を受章
1991年(平成 3年) 88歳で死去
1993年(平成 5年) 長谷育英奨学会が鳥取で設立される
2023年(令和 5年) 生誕120周年、八芳園設立80周年、長谷育英奨学会設立30周年
☆小惑星とは
小惑星は主に岩石や金属からできた小さな太陽系の天体で、その多くは火星と木星の間に分布しています(小惑星がたくさんあるので「小惑星帯」と呼ばれています)。
太陽系外縁部の小天体を除いた最大の小惑星「セレス(またはケレス)」でも直径が約1000kmで、ほとんどの小惑星は数km以下という小さな天体です。2023年2月末現在、その通り道(軌道)がよくわかっているものは約66万個あり、さらに軌道が正確にはわかっていないものは数十万個もあります。
☆小惑星の発見から命名までの流れ
(1)小惑星の発見を国際天文学連合・小惑星センターに報告
(2)新小惑星らしい場合は仮符号がつく
(3)軌道が正確にわかるまで観測を継続(少なくとも4~6年間)
(4)軌道が正確に決まる
(5)小惑星センターが正式な番号(確定番号)を発表
(6)発見者が提案理由をつけて名前を提案する
(7)国際天文学連合で提案名が審査され、認められれば国際的に通用する小惑星名となる
小惑星は見つけてすぐに発見とは認められません。数が非常に多いため、それぞれの小惑星の区別をきちんとつける必要があるためです。そのため、見つけた小惑星の観測を続け、その軌道が正確にわかり、他の人がその小惑星をとらえた時に、この小惑星は間違いなく「××××」だとわかるようになると、正式に発見と認められます。そのように軌道が正確にわかるまで、少なくとも4~6年はかかります。
軌道が正確にわかると、その小惑星には正式な番号(確定番号)が与えられます。確定番号は1801年に初めて発見された小惑星1番「セレス」からの通し番号です。この番号がつくと、その小惑星を発見した人に名前を提案する権利が与えられます。その後、発見者から提案された名前は国際天文学連合で審議され、承認されると晴れて国際的に通用する小惑星の名前となります。
☆小惑星命名に関する国際的な決まり
小惑星の命名に関しては、主に次のような国際的な決まりがあります。
発見者(例えば、鳥取市さじアストロパーク)に与えられているのは「命名提案権」であり、最終的な決定は国際天文学連合の小天体命名委員会でおこなわれます。
・ローマ字表記で16文字以内
・発音できるもの(例:SJなどは不可)
・政治家や宗教家などは死後100年が経過し、歴史的評価が定まっている場合のみ命名可能
・営利目的につながるような命名(企業名や商品名など)は不可
☆鳥取市さじアストロパークで見つけた小惑星
佐治天文台で発見し、確定番号登録された小惑星は現在22個であり、そのうち命名済みのものが18個、命名未申請が4個あります。
このページに関するお問い合わせ先
電話番号:0858-89-1011
FAX番号:0858-88-0103