環の見えない土星を撮影登録日:
土星の環が見えなくなる現象を鳥取市さじアストロパークでとらえました。これは2009年以来、およそ16年ぶりとなる現象です。
☆土星の環について
土星の環は多数の氷のつぶでできており、厚みは数百メートル程度しかありません。私たちの感覚では十分な厚みがあるように感じますが、宇宙スケールで見ると半径が6万km(地球の約10倍近く)もある土星に比べたら非常に薄く、また土星までの距離も15億km以上(撮影時の5月13日早朝の距離)も離れているので、環が真横になると見えなくなるのです。
☆土星の環が見えなくなる原因
環が見えなくなる原因として、
・環が地球に対して真横になる(2025年3月24日)
・環が太陽に対して真横になる(2025年5月7日)
の2つがあります。今年3月は土星が見かけ上、太陽に近く、地球から観測することが不可能でした。5月7日は夜明け頃、東の空の高さ10度くらいのところになり、なんとか観測できる条件でしたが、天気が悪く、とらえることができていませんでした。
☆環が見えない土星の撮影
5月13日早朝、天候に恵まれ、環の見えない土星を撮影することができました。高さが低く、103cm望遠鏡を向けることができないため、天体宿泊施設「ジュノー観測所」にある15cm屈折望遠鏡で撮影を行いました。
2025年5月13日に撮影した「環の見えない土星」
一般の方が土星を見やすくなるのは、2025年10月~12月頃で、特に11月は環の傾きが地球に対して1度以下となるため、環が非常に見づらくなります。鳥取市さじアストロパークで夜に行っている103cm大型望遠鏡での天体観察会「夜間観望会」では、11月の1ヵ月間のテーマを「環のない土星」として、多くの方に環が見えない土星の姿をご覧いただく予定です。
土星のシンボルとも言える環が見えないのは、少し寂しい気もしますが、これは約15年ごとの現象で、次回は2039年となります。この貴重な機会に、たくさんの皆さんに環が見えない土星の姿をご覧いただければと思います。
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