平成28年度から、異文化との交流や体験を通して、国際感覚の優れた人材を育成することをねらいとして、市内の中学生を海外に派遣しています。
今年度は派遣先をオーストラリア・クインズランド州ケアンズを行き先として募集を行ったところ、50人以上の応募がありました。面接試験などにより20人を選考し、8月7日~11日の日程で派遣しました。本特集では、派遣先での様子と、生徒が海外で感じてきたことをお伝えします。
6月から始まった研修では、現地中学校との交流会の準備や、ホームステイ先での生活についての学習を行いました。
20人のミッションは「さまざまなやりとりをするなかで、日本との共通点や違いに驚き、ものの見方を広げて、帰国後に広く報告する」ことでした。生徒たちは日本や鳥取のことをどのようにして伝えるかを真剣に考え、鳥取砂丘の魅力を発信することや日本の文化について実演するといったアイデアを出し合いました。
研修中特に驚いたのは、日本では「遠慮」は美徳であるが、ホームステイ先で遠慮しすぎるとさまざまな誤解を招くと教わったことです。
さあ、文化や習慣の違いを超えて多くのことを学ぶため、いよいよ出発です。
研修の目玉の一つである、学校訪問では「ケアンズ・ステート・ハイスクール」というケアンズ最大の中高一貫校の生徒と交流しました。
その場で傘踊りに挑戦してみたい人を募ってみると、すぐに何人もの生徒から手が挙がったり、鳥取のことを興味深く質問してきたりする積極性に驚きました。午前と午後の1時間ずつ現地の授業を受けることもできました。計算の速さを競ったり、演劇を体験したりしましたが、ケアンズの生徒達の学びに対する真剣さには、見習うべき点が多くありました。また、10時ごろにみんなでブランチを食べることや(かなりのボリューム!)ランチは校内のさまざまな場所で自由に食べることなど驚きの連続で、刺激的な時間はあっという間に過ぎていきました。
最後は校長先生から、一人一人が修了証と記念品を受け取り、学校を後にしました。
今回の研修ではオーストラリアの「日常」を体験できたことも貴重でした。ホームステイ先での体験はもちろんのこと、ケアンズ市内での買い物や現地大学生との市内散策など、英語を必要とする場面が目白押しでした。気持ちが通じることのうれしさの反面、伝わらなかったことの悔しさを経験した生徒も多く、今後の学びへの意欲となりました。
8月25日、鳥取市教育センターで派遣報告会を行いました。研修概要の報告の後に、ホームステイ先での様子を全10ペアがそれぞれ報告しました。
ホストファミリーとカーニバルに参加したこと、家事を手伝ったこと、お別れの日の朝にはサプライズでお手紙と扇子をプレゼントしたことなど、どの生徒も言葉や習慣の違いに戸惑いながらも、必死にやりとりをしたことを報告しました。
(派遣報告会でのディスカッションより)
ホームステイ先での会話から、日本のことにすごく興味を持っていたり、日本が尊敬されていたりすることが分かってびっくりしました。初日の朝食、次の日のケーキとアイス。いずれもお父さんのお手製でした。当たり前のように家事を分担し、当たり前のように知らない人にもあいさつをするファミリーに感動しました。わたしも、さまざまな貴重な経験をしたのですが、この経験を自分のためだけに生かすのでなく、友達に広めたいです。