○鳥取市議会基本条例
平成29年6月27日
鳥取市条例第29号
目次
前文
第1章 総則(第1条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第2条―第4条)
第3章 市民と議会の関係(第5条―第9条)
第4章 議会と行政の関係(第10条―第12条)
第5章 議会の組織(第13条―第17条)
第6章 議会の運営(第18条―第24条)
第7章 議員の政治倫理及び待遇(第25条・第26条)
第8章 最高規範性と見直し(第27条・第28条)
第9章 補則(第29条)
附則
地方自治の精神は、地域のことを市民自らが考え、決定し、実行することにある。日本国憲法は、地方自治について定め、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)は、地方公共団体の権限と役割をあきらかにしている。
議会は、市の最高意思決定機関であり、二元代表制のもと、市長その他の執行機関との緊張関係を保ちながら、市の事務事業執行の監視機能及び立法機能を発揮するとともに、積極的に政策立案や提言を行うことが求められている。
そのような中、鳥取市議会は、地方自治の本旨に基づき、多様な民意を的確に反映させ、市民福祉の増進と市政の発展に寄与し、議会の公正性と透明性を確保するとともに、市民に分かりやすい開かれた議会運営に努めなければならない。
今後さらに地方分権が進展するにともない、地方議会が果たすべき役割と責任が増すことから、鳥取市議会は、今日まで取り組んできた議会改革を基礎とした、議会及び議員に関する基本的事項を定める議会基本条例を制定すべきとの合意に至った。
よって、鳥取市議会は、恵まれた豊かな自然環境と先人が作り上げてきた歴史・伝統・文化を次世代に引き継ぎ、未来につながるまちづくりのため、市民の負託に全力で応えていくことを決意し、議会及び議員活動の最高規範としてこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、鳥取市議会(以下「議会」という。)の役割を明らかにするとともに、議会及び議員に関する基本的事項を定め、議会活動の活性化と市民に開かれた議会の実現を図ることにより、市民福祉の増進と市政の発展に寄与することを目的とする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第2条 議会は、次に掲げる原則に基づき運営されなければならない。
(1) 市民に開かれた議会とするため、情報公開及び市民参加を促進すること。
(2) 市民に信頼される議会とするため、公平性及び公正性を確保すること。
(3) 市民に親しまれる議会とするため、わかりやすい言葉、方法で説明責任を果たすこと。
(4) 責務を果たす議会とするため、市政の監視及び評価並びに政策の立案及び提言を行う機能の強化に努めること。
(議員の活動原則)
第3条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な議論を尊重すること。
(2) 多様な市民の意見及び市の実態の的確な把握に努めるとともに、市民全体の福祉の増進を図ること。
(3) 市民の代表として誠実かつ公正に職務を執行するとともに、自己の能力を高める不断の研さんと調査研究に努めること。
(危機管理)
第4条 議会は、災害等緊急事態から市民の生命、身体及び財産の安全を確保するため、市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)とともに、危機管理体制の整備に努めるものとする。
第3章 市民と議会の関係
(市民参加の促進)
第5条 議会は、市政及び議会活動に市民が参加できる機会の充実を図るものとする。
2 議会は、積極的に情報を発信し、より多くの市民との情報の共有に努めるものとする。
3 議会は、市民の見識等を議会審査の参考とするため、必要に応じて法第100条の2の規定による学識経験者等の専門的知見の活用並びに法第115条の2(法第109条第5項において準用する場合を含む。)の規定による公聴会制度及び参考人制度を活用するよう努めるものとする。
(会議の公開)
第6条 議会は、開かれた議会運営に資するため、本会議、委員会及び法第100条第12項に規定する協議又は調整を行う場(以下「協議の場」という。)の会議を原則として公開する。
(市民との意見交換等)
第7条 議会は、市民との意見交換及び議会審議等の報告を行うための場を設けるものとする。
(説明責任)
第8条 議会は、議会運営、審議内容及び議決結果について、市民に対して説明する責任を有する。
(議会広報)
第9条 議会は、議会活動を市民に周知するため、多様な手段を活用し、積極的な広報に努めるものとする。
第4章 議会と行政の関係
(緊張関係の保持)
第10条 議会及び議員と市長等との関係は、その立場及び権能の違いを踏まえ、緊張ある関係の保持に努めるものとする。
(論点の明確化)
第11条 議員は、本会議における質疑及び質問を、一問一答方式等により、論点及び争点を明確にして行うものとする。
2 市長等は、本会議、委員会及び協議の場において、議長又は委員長の許可を得て、議員の質疑又は質問に対し、反問することができる。
(政策等の説明及び審議)
第12条 議会は、市長等が提案する政策、計画、施策、事業等(以下「政策等」という。)について、審議における論点及び争点を明らかにし、政策等の水準を高めるため、市長等に対し、次に掲げる事項の説明及び資料の提出を求めることができる。
(1) 政策等の背景、経過、目的及び効果
(2) 他の地方公共団体の類似する政策等との比較検討
(3) 政策等の形成過程での市民参加の有無及びその内容
(4) 総合計画又はその他の計画との整合性
(5) 関係法令及び条例等
(6) 財源措置及び将来にわたるコスト計算
2 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、市長等に対し、前項の規定に準じた施策別又は事業別の説明資料の提出を求めるものとする。
第5章 議会の組織
(議員定数)
第13条 議員定数は、議会機能の確保の観点に立ち、市政の状況、将来の見通し、市民の意見等を総合的に判断し、決定するものとする。
2 議員の定数は、鳥取市議会の議員の定数を定める条例(平成14年鳥取市条例第20号)に定めるところによる。
(会派)
第14条 議員は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成する会派(以下「会派」という。)を結成することができる。
2 会派は、議会運営、政策決定及び政策提言に関し、必要に応じて会派間の協議を行い、合意形成に努めるものとする。
3 議長は、必要があると認めるときは、会派の代表者の会議を開催する。
(議長)
第15条 議長は、議会を代表して中立公正な職務遂行に努めるとともに、民主的かつ効率的な議会運営を行わなければならない。
(委員会)
第16条 常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会は、その有する専門性の見地から調査及び審査を行うとともに、積極的に政策立案及び政策提言を行うものとする。
(議会事務局)
第17条 議会は、議会の政策立案能力の向上及び議会の円滑かつ効率的な運営のため、議会事務局の調査機能及び法務機能の充実並びに組織体制の充実に努めるものとする。
第6章 議会の運営
(議会の合意形成)
第18条 議会は、言論の場であることを踏まえ、議員間の自由討議を尽くして、合意形成に努めるものとする。
(議決事件)
第19条 議会は、法第96条第2項の規定に基づき、議事機関としての機能強化のため、必要な事項を議決事件として定めるものとする。
2 法第96条第2項の規定により定める議決事件は、議会の議決すべき事件に関する条例(平成21年鳥取市条例第29号)に定めるところによる。
(議員研修)
第20条 議会は、議員の政策の立案能力等の向上を図るため、議員研修を実施するものとする。
(議会図書室)
第21条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。
2 議会図書室については、鳥取市議会図書室条例(昭和49年鳥取市条例第19号)に定めるところによる。
(予算の確保)
第22条 議会は、議事機関としての機能を確保するとともに、円滑な議会運営、議会活動及び議員活動の充実を図るため、必要な予算の確保に努めるものとする。
(法定外の審議会等委員の就任)
第23条 議員は、二元代表制及び住民自治の観点から、法定外の執行機関の諮問機関及び審議会等の委員に就任しない。ただし、政策的に議会が参画する必要があると判断するものについては、この限りではない。
(議会改革の推進)
第24条 議会は、市民に信頼され開かれた議会を目指し、更なる議会改革を推進するものとする。
第7章 議員の政治倫理及び待遇
(議員の政治倫理)
第25条 議員は、市民の代表者としてふさわしい品位と見識を養うとともに、自らの責務を正しく認識し、誠実かつ公正に職務を遂行するものとする。
(政務活動費)
第26条 会派及び議員は、政務活動費を有効に活用し、市政に関する調査研究その他の活動を積極的に行うものとする。
2 会派及び議員は、政務活動費を適正に執行するとともに、説明責任を果たすものとする。
3 政務活動費の交付については、鳥取市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年鳥取市条例第18号)に定めるところによる。
第8章 最高規範性と見直し
2 議会は、前項により行った検証の結果及び講じた措置について、市民に公表するものとする。
第9章 補則
(その他)
第29条 この条例の施行に関し、必要な事項は、議会が別に定めるものとする。
附則
この条例は、平成29年7月1日から施行する。